空想地図学会に行ってきました(中編)

前編の続きです。今回は中間のBブロックの様子と個人的感想。

想像地図さん

Twitter:(@koridentetsu)

一つの国を1:10000で描き切ろうとしているということもあって膨大な枚数。完成する頃には65536枚になるのだとか。この枚数をちょうどいいと思ってしまった方は間違いなく彼の地図と相性がいい。

空想地図で何をどこまでこだわるかというのは結構個人差が出るもので、そこを掘り下げていくと地図作者のバックボーンが見えてくるもので。極端な話、新幹線を知らない人がつくる地図には新幹線は登場しないわけで。逆にこの方は惑星というものがどういう形をしていてどういう計算でそれを平面(紙の地図)に映し出すことができるかを理解しているがゆえにその辺の細かい設定もされているわけである。

(細かいことを言えば↑のやつは逆ではなく対偶だから正しいわけで、論理学の意味での逆はこの場合は成り立たない。路面電車を知っていても空想地図に路面電車を登場させるとは限らない。)

性格診断か何かで、「このタイプの人はこの人の地図がおすすめ〜」みたいなことをやりたいなと密かに思っているわけだが、マインクラフトで細かい仕掛けを作るのが好きなタイプや数学者タイプの方にはぜひ想像地図さんの地図をおすすめしたい。

ところで、スライドに出てきた数式や概念は少々数学の知識を要求するものであった。この方のつくる地図をより楽しみたいという方は、

  • 微分積分学(マクローリン展開まで)
  • 集合論(可算無限と非可算無限の違いが分かれば十分)

を勉強してみると地図がより楽しめるはず。それを抜きしても趣味として数学やってみるのも大人になった今なら意外と楽しいかもしれませんぜ。

らんべさん

Twitter:(@lambeluza)

架空国家・架空言語界隈からの刺客。架空で国家を作ろうとすると、国旗や政治体制を気にする必要がある。逆に一つ一つの街の街路なんかは気にしなくてもいいわけか。(もちろん地方都市スケールでも政治を気にしたり等例外もあるが)

街の地図をつくっている立場としてはやはり架空言語が新鮮だった。独自の文字やら文法やらを決めて、さらにはその言語ごとの発音も習得する必要があるわけか。架空言語ごとの個性はどこで出てくるんだろうか。マイナーな発音をどこにそのくらい採用するかとか、歴史的な経緯でスペル通りの読み方をしないとかその辺?

ひとつ上の想像地図さんみたいに、空想都市で日本語が通じるのはおかしいからそこで使われてる言語を独自に作ろうとしている方もいるが、あくまで日本語をベースとした方言、すなわち日本語のオリジナル方言のようなものを採用する空想都市があっても面白いのではないかと思っているが、これは下手したら一からオリジナル言語を作るより難しいかもしれない。え、もしかして架空言語界隈でもうやってる方いらっしゃいます??

もちろん地図も見事なクオリティ。そして国土がかなり広い。海まで500kmぐらいある都市もザラにあるみたい。日本の街になれているとそれってすごく珍しいことのように思うけど、世界的にはそういった街がいくらでもあるっていうのは頭に入れておきたい。

とっまさん

Twitter:(@mat_so8)

空想地図会期待の星。描いているのは和代県城越市という都市で、人口は100万ほどとのこと。鉄道路線の充実度や駅周辺の商業施設の規模からするともっとでかい街にも見えるが、広域図を見てみるとそこまで人を集めるやすい地形ではないような気がするので差し引き100万といったところなのだろうか。

詳しく聞いてみたかったが、当日はあいにく1:1で話せる時間がとれなかったのでそのへんは次回に期待。

それにしても手描きでここまでのもの作れるのが本当にすごい。だって色塗ったらもう修正きかないじゃないですか。とイラレに頼りまくるようになった今思う。前編にも描いたけど、もし興味おありでしたらInkscapeから始めてみるのかよいかと思われます。

ともかく今の歳でここまでのクオリティの地図を描いてくる方がいるとは…と戦慄した地図です。Twitterからも見れるので皆様ぜひ一度ご覧ください。塩沢市もおすすめ。

ごとりんさん

HP:月本國

ごとりんさんが月本國をつくっていますとおっしゃった途端に会場が盛り上がった。界隈では有名な架空地図作家さんである。今回参加した中でおそらく最年長、ネット上に地図を載せるようになって約20年(!)、空想地図を作り始めたのは1979年(!!)、と出てくる数字にその都度驚かされる。

日本っぽい架空地図を作るため、地理院地図を標高100mごとに塗り分けることで日本の地形を研究する。それをもとに日本っぽい架空地図の地形を作っている。

これがまたリアル。広範囲。ちょっとやそっとの情熱でできるものではないだろう。塗り分けられた色を見て即座にそこが標高何mか答えられるということはそういうことだ。

実際いろんな方の空想地図を見てみると、地形にしっかりこだわっている方は決して多くない。地形をしっかり再現しようと思えば、地学的な専門知識をつける(or知識を持った人に協力を仰ぐ)か、執念で感覚を身につけるかしかない。

仮に地形にこだわってみたとしても、地図を見た多くの人はそのこだわりに気づかないかもしれない。それでもこだわってみるか、地形を犠牲にして他のところに力をいれるかは地図作家次第だろう。

るたかすさん

Twitter:(@ruta_q)

空想地図からその空想都市の政治事情を妄想してさらには空想選挙をやってしまおうという方。その発想は無かった。これだからいろんな分野の人が集まれば集まるほど面白いんだよなあ。

空想地図の政治周辺のことはそれまであまり気にしていなかったんだけど、言われてみれば自分の作っている威津市なんて近世と現代に2回植民地支配されているわけで、選挙や政党の傾向などいくらでも妄想しがいがあるはず。

現状の設定として、威津の現代の植民地支配は1940〜1990年の50年間。前半はかなり植民地政府の力が強くて道路や鉄道も計画通りゴリゴリ作られるし立ち退きさせまくり。後半はその反動で住民運動が過激になって都市計画がほぼ遂行されない。返還後にちょっと時間をおいて00年代に再開発ラッシュ、と大まかに決めているので、この辺と関連付ければ威津でも空想選挙できなくはない。

ともかく、空想地図を載せているだけでは出会えなかったであろう方。空想地図学会のおかげで出会えた方。ありがとう空想地図学会。

ここで学会は2度目の休憩。最後はツワモノ揃いのCブロック。記事もここでまた分割。→後編

空想地図学会(前編中編後編

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